| 2-1.自然系断熱材を取り巻く現状とその変化 €自然系断熱材の現状 ・自然系断熱材の必要性健康志向が高まると共に、人体や環境に付加が少ない自然系建材の需要が増加している。ホルムアルデヒド放出を押さえたFc0の合板やE0のMDF、無垢木板、自然系塗料、紙クロス、布クロス、珪藻土塗壁などの仕上げ材の普及が著しいが、自然系断熱材の普及は少ない。エコ建材のガイドブックや雑誌などへの登場は多いが、実際の普及が少ないのは、グラスウールの約5倍と価格が高いことによると考えられる。 しかし、エコロジーやバウビオロギーを考え、化学物質過敏症・環境ホルモンやアレルギーに対応するには自然系断熱材が是非とも必要である。 ・自然系断熱材の勢力図の変化 エコロジーが意識されていない時期から、セルロースファイバーの天井のブローイングは手ごろな価格と材工共の簡便性から普及はある程度あった。国内での歴史と実績があり、他の自然系断熱材に較べダントツに普及している。数年前にエコ建材が言われるようになってからは炭化発泡コルクが登場したが、価格が高く普及がすすまなかった。現在は自然系断熱材のなかでは価格が比較的安く、施工が簡便なウール断熱材が普及してきている。 ・入手できる自然系断熱材 現在入手できる自然系断熱材は、木質繊維系のセルロースファイバー、炭化発泡コルク、セルロースウール、軽量軟質木質繊維、植物草茎繊維のフラックス(亜麻)繊維、ハンフ(大麻)繊維、動物繊維の羊毛繊維などがある。 ・国内生産の現状 国内生産されているものは、セルロースファイバーと、若干な量の軽量軟質木質繊維である。自然系素材ではないが、国内生産されているペットボトルをポリエステル繊維にリサイクルした、人体や環境に付加が少ないエコ断熱材の使用が考えられる。 断熱材の総合評価 a.ウール ・原料:羊毛、ポリエステルが含まれているものがある ・価格:厚さ100mm価格2,000円〜3,000円/m2。運賃は別。 グラスウール(高性能16kg)の3倍〜5倍。 ポリエステル、バージンウール、リサイクルウールの割合によって価格が違う。 ・形状:マット、バラ綿状 ・断熱性能:熱伝導率、約0.040W/m・k ・安全性(人体に対する) 添加剤は防虫・難燃劑のホウ酸塩又ホウ酸含まれている。ドイツの「エコテスト」 では、発ガン性評価は「問題無し」、「準推奨品」にあげられている。ホルムアル デヒドの吸着効果がある。 ・エコロジー度:リサイクルウールが使用されているものがある。 ・耐久性:大 ・施工性・施工安全性:マット状で施工性が優れ、施工安全性がある。 ・用途の制限:マット状なので内断熱(充填)に向いている。 ・入手しやすさ、主要メーカー:入手しやすい。 アイティエヌジャパン:電話0743-59-0569 自然の住まい(株):0266-79-6777 立共インターナショナル:075-672-3154 b.吹き込みセルロースファイバー ・原料:原料パルプ、新聞故紙、接着剤、ホウ酸 ・価格:厚さ100mm材工価格約2,000円/m2。厚さ300mm材工価格約4,600円/m2。 価格は材工共なので、他の断熱材と比較することが難しいが、グラスウール (高性能16kg)の材料費と施工費を強引に計算してみると、高性能グラス ウールの材工共の2倍弱である。今までは、グラスウールと較べて高いという イメージがあるが、低負荷の断熱材が望まれているなかで、自然系素材の断熱 材では極めてローコストである。日本での実績も長いし、もっと評価され使用 されて良い断熱材である。 ・形状:綿状(吹き込み、吹き付け) ・断熱性能:熱伝導率が公庫の資料では0.039W/m・k、ドイツのエコテストでは 0.040W/m・k。高性能グラスウール16Kと較べると若干少ない。 ・安全性(人体に対する) 難燃剤と防虫(虫の忌避性)にホウ酸が使われている。リサイクル紙からのセルロースが原料にされ、新聞紙に印刷されているインクの揮発性有機化合物が気になる場合は、価格が多少高くなるが、インクが使用されていないセルロースファイバーがある。「エコテスト」では「推奨品」にあげられている。インクの揮発性有機化合物が含まれているマイナスポイントがあっても、住宅の完成時には壁体内に密封されることなど、それらを超えての低負荷や多量な生産性などが総合評価されているのだろう。「推奨品」にあげられている28品目の内、セルロースファイバーは9品目がはいり、軽量軟質木質繊維ボードの10品目についでの2番目である。「エコテスト」は、発ガン性評価は「問題無し」。 ・エコロジー度 循環型(成長資源・リサイクル)エコロジー断熱材。 1次製造エネルギーは1立方メートル当たり約14KW・Hで、石油合成化学物質 断熱材のウレタンボードの約1,585KW・H、ポリスチレンボードの約695 KW・Hとは較べものにならないほどはるかに少ない。他の自然素材断熱材のフラ ックス繊維の50KW・Hと較べても3割弱と小さい。 ・耐久性:大 ・施工性・施工安全性:綿状で吹き込みの施工性が優れ、施工安全性がある。 ・用途の制限:綿状なので天井断熱に向いている。 ・入手しやすさ、主要メーカー:入手しやすい。 (株)マツナガ:電話03-3925-0065 王子製紙(株):03-5550-3037 十條製紙(株):03-5390-2025 吉永商事(株):0776-22-0665 c.炭化発泡コルク ・原料:コルク、 ・価格:厚さ100mm価格約7,500円/m2。運賃は別。グラスウール(高性能16kg)の 約12倍でかなり高価である。 ・形状:ボード、粒状 ・断熱性能:熱伝導率が0.045W/m・k。グラスウール16Kと同等である。 ・安全性(人体に対する) 添加物はなく、炭化コルクのなかに虫の忌避成分があり防虫効果を自ら含んでいる。 「エコテスト」では「推奨品」にあげられ、発ガン性評価は「問題無し」。 ・エコロジー度 1次製造エネルギーは1立方メートル当たり約360から440KW・Hで少ない。 ・耐久性:大、水分には強く、腐りにくい。 ・施工性・施工安全性:ボード状であり、外張断熱では施工性が優れ、施工安全性がある。 ・用途の制限:ボード状なので外張断熱に向いている。 ・入手しやすさ、主要メーカー:入手しやすい。 東亜コルク(株):072-872-5691 d.フラックス繊維 ・原料:亜麻繊維 ・形状:マット、ボード ・価格:価格は、コンテナ単位での販売であり、港渡しで50,000万円/m3である。 内訳書に入れる単価は100ミリ厚で約7,500円/m2前後になろう。100 ミリの高性能グラスウール16Kの約10倍、50ミリのウレタンボードの約3.5 倍である。ドイツでは100ミリで2,500円程度であり、グラスウールの約 3.5倍である。 ・形状:マット ・断熱性能: 断熱性能は熱伝導率が0.040W/m・kで、高性能グラスウール16Kと較べると 若干少ないが、吹き込みセルロースファイバーと同等である。公庫の資料では吹き込みセ ルロースファイバーの熱伝導率が0.039W/m・kになっている。 ・安全性(人体に対する) 接着剤はポテトスターチ(じゃがいも澱粉糊)の自然系接着剤なのでホルムアルデヒドは含まれていない。防虫性(忌避性)や難燃性のためにほう酸塩が含まれている。ほう酸塩が、害虫や黴菌類から守り、蛾・蟻からは亜麻繊維自体が守る特性を有している。「エコテスト」では「推奨品」にあげられ,発ガン性評価は「問題無し」。 ・エコロジー度 循環型(成長資源・リサイクル)エコロジー断熱材。麻の品種の一つで、亜麻油をとる亜麻草の草茎から繊維をとる。1次製造エネルギーは1立方メートル当たり約50KW・Hで、石油合成化学物質断熱材のウレタンボードの約1,585KW・Hと較べて3%。ポリスチレンボードの約695KW・Hと較べて7%とはるかに少ない。「エコテスト」では「推奨品」にあげられている。ポリエステルやポリエチレン繊維が入っているものは「準推奨品」にあげられている。 ・耐久性:大。 ・施工性・施工安全性:マット状であり、マット状で施工性が優れ、施工安全性がある。 ・用途の制限:マット状なので内断熱(充填)に向いている。 ・入手しやすさ、主要メーカー:国内在庫がなく、多少入手しにくい。 (株)イケダコーポレーション:03-3544-4453 e.軽量軟質木質繊維ボード ・原料:木質繊維 ・価格:価格は断熱性能で同じ程度の仕様であれば、グラスウールと較べると3倍から 3.5倍するが、ウレタンボードの50ミリの厚さにおおよそ対応する軽量軟質木 質繊維ボードの80ミリの厚さで、ほぼ同じ価格である。80ミリの厚さで 約2,200円/m2、100ミリの厚さで約2,900円/m2になろう。量産さ れると、もっとコストダウンする。ドイツでは100ミリの厚さで2,600円前 後である。輸入品は価格は現段階では、コンテナ単位での販売であり、港渡しで約 50,000万円/m3である。 ・形状:ボード、マット ・断熱性能: 熱伝導率が0.040W/m・k〜0.045W/m・k。吹き込みセルロースファ イバーと同等である。高性能グラスウール16Kと較べると若干少ない。現状の軟 質木質繊維ボードのタタミボードであっても、熱伝導率が0.045W/m・kと グラスウール16Kと同様な断熱性能があり、以外な性能の良さに認識を改めなけ ればならない。 ・安全性(人体に対する) 接着剤はコーンスターチ(トウモロコシの澱粉糊)なのでホルムアルデヒドは含ま れていない。輸入品には防虫性(忌避性)や難燃性のためにほう酸塩が含まれてい る。ほう酸塩が、害虫や黴菌類から守り、蛾・蟻からは亜麻繊維自体が守る特性を 有している。 「エコテスト」では「推奨品」にあげられ,発ガン性評価は「問題無 し」。 ・エコロジー度 循環型(成長資源・リサイクル)エコロジー断熱材。一次製造エネルギーは1ɠ当 たり約560KW・Hで、石油合成化学物質断熱材のウレタンボードの 約1,585KW・Hと較べて35%。ポリスチレンボードの約695KW・Hと 較べて80%と少ないが、他の自然素材断熱材のフラックス繊維の50KW・Hと 較べては11倍と大きく、マイナスポイントになる。しかし、エコロジー・バウビ オロギーの総合評価ではトップクラスである。 ・耐久性:大。 ・施工性・施工安全性:板状は付加断熱や外張断熱に向き、施工安全性がある。 ・用途の制限:板状で付加断熱や外張断熱に向いている。 ・入手しやすさ、主要メーカー 輸入品は国内在庫がなく、多少入手しにくい。国内生産品もまだ商流が安定していない。 輸入品:(株)イケダコーポレーション:03-3544-4453 国内品:アキモクボード(株):0185-58-3131 二ツ井パネル(株) :0186-78-2132(木繊維断熱・気密パネル) 2-2.セルロースファイバーの実力とエコロジー度 €セルロースファイバーとはなにか・セルロースファイバーの現状 エコロジーが意識されていない時期から、セルロースファイバーの天井のブローイングは手ごろな価格と材工共の簡便性から普及はある程度あった。国内での歴史と実績があり、他の自然系断熱材に較べダントツに普及している。日本での実績も長いし、もっと評価され使用されて良い断熱材である。 ・セルロースファイバーのコストメリット 天井のブローイングは厚さ100mm材工価格約2,000円/m2、厚さ200mm材工価格約3,300円/m2、厚さ300mm材工価格約4,600円/m2と厚くなればなる程格安感が出てくる。 ・セルロースファイバーはなにでできているか 古新聞を粉砕し、綿状にする。リサイクル製品なのでエコロジカルである。難燃剤 と防虫(虫の忌避性)にホウ酸が使われている。リサイクル紙からのセルロースが 原料にされ、新聞紙に印刷されているインクの揮発性有機化合物が気になる場合は、 価格が多少高くなるが、インクが使用されていないセルロースファイバーがある。 ・生産と入手 王子製紙(株):03-5550-3037 十條製紙(株):03-5390-2025 (株)マツナガ:電話03-3925-0065 吉永商事(株):0776-22-0665 ・性能・施工性メリット・デメリット 水蒸気の保湿性が豊かなうえに吸放湿が良いので、防湿シートがなくても冬期の結露に安全な方向であり、なおかつ夏期の逆転現象結露にも有利である。防湿シートがなくても、結露の心配が少なければ、施工の注意点は気密施工の精度だけであり、施工が合理化でき随分と楽になる。木造の公共建築の高断熱化・高気密化をはかるときは、施工精度が気になるところだが、防湿シートが雑になっても結露の危険度が少ないセルロースファイバーが安心である。 施工は吹き込みの専門業者による。壁の中に充填後に自らの重量に沈下しないかということがある。その部分が断熱欠損となり結露してしまう。沈下対策として接着剤入りの湿式の吹き込み工法や、自然素材の非木質繊維を一定の長さにカットし配合したものがある。 セルロースファイバー断熱材・設計のポイント 自然系断熱材は高価であるが、コストダウンと熱損失減少をはかるのに、自然系断熱材のなかで格安感がある天井吹き込みセルロースファイバーの厚さ200mmから300mmで設計する。 |